Vanish 5. 嫉妬
-
燃え上がるは炎、鮮烈なる赤。
何故に我は世を乱す害とされ、貴様は神となり得たか。
我らを創りしは神であり、かつ、我らを形作るは塵芥。
ただ違いしは、貴様が万物の初めで、我はあくまで模倣でしか無かったことのみ。
神が眠りにつく時、神の器、模倣となった貴様は全てを知っているのだろう?
幼子の空想の如く、絶対的な正義と対する悪を創らんとしたのだろうか。
必要悪たることを望まれ、そのためにここに在る己。
――嗚呼喜びて世を怨まん。
貴様の愛し羊に力を与えん。
盲目故の安らぎではなく、真実に触れるがために生ずる苦悩、失望、憤怒を与えん。
目を覚ますが良い。
愚かなる衣は脱ぎ捨てるが良い。
光を失いし目、開ききり無意味なる詞ばかり紡ぐ口。
まやかしの救いに堕ちた羊等よ、目を覚ますが良い。
深遠なる裂け目より、我は救いの手を差し伸べよう。
――望め、されば与えん!
嘘にまみれたる神の救いを払い除けよ――。