Vanish 6. 暴食

     幾千年もの永き時を経て、我らはようやく楽園を出ず。
    知らず知らずに重ねられた数多の偽りに背を向けて、我々は旅立とう。
    片手の林檎でこの世を渡ろう、真白い鳩が行き着く果てまで。
     偽りより助け出さねば。
    目を覚ませ、目を覚ませと虚ろな目に、耳に囁く。
    知らず知らず重ねられた偽りの免罪符を破り捨て、この忌まわしき園から、いざ――。
     変わり行かぬものなどありはしない、だというのに何故高座の君よ、永遠を説く。
    死を恐れと説き、別れを悲劇と断定し、そして不変を至上の悦びと騙る。
    それは優越か、我々に対する。
    変わりゆく宿命に在る我々に対する優越か。
    ならば今、その真実を暴く時。
    そして、雲上の高座より引き摺り落とそう、まやかしで救われる時代は終わりを告げたのだから。
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