白昏

    ふわりふらり
    ま白い雪が舞う空
    ひらとひらと
    一頭の蝶がさ迷う

    未だ厳しい冬
    何を勘違いしたのかしら?
    ふんわりと笑む

    ふわりふらり
    ま白い雪が舞う空
    ひらとひらと
    一頭の蝶がさ迷う

    どうして翔んでいるの?
    雪がちらついてるよ
    お花もまだ無いのに……

    可哀想ねと笑む
    拙き言葉に重ね
    可哀想ねと泣く

    ふわりふらり
    ま白い雪が舞う空
    ひらとひらと
    一頭の蝶がさ迷う
    八百万の色纏い
    現れては薄れる
    溶解しては凝固する
    どんな図鑑にも載っていない
    唯一の蝶

    探しているのね
    纏うべき骸を
    でも無いわ
    きっときっと……

    空と対成す
    蒼紺の海の底
    囚われて
    貴方は彼方へ……

    ふわりふらり
    ま白い雪が舞う空
    ひらとひらと
    一頭の蝶がさ迷う

    出来るなら
    一輪の花を最期の贈り物に
    そして深い深い安らぎへ送ってあげたい
    まだ貴方が解る内に
    早く……
    できるだけ早く……

    ふわりふらり
    ま白い雪が舞う空
    ひらとひらと
    一頭の蝶がさ迷っていた

    今は
    ふわりふらり
    ま白い雪が舞う空
    ひらとひらと
    あまたの蝶がさ迷い
    舞い惑う

    安らぎの
    安息の眠りを贈りましょう
    花を
    色とりどり様々の甘い花を……
    安らぎの
    安息の眠りを贈るために――
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